2020年、第三セクター鉄道40社が連携して「鉄印帳」という企画を始めた。
仕組みはシンプルで、専用の帳面を買って、各鉄道の窓口で乗車券を見せると、その鉄道のオリジナルスタンプ+担当者のサインをもらえる。
御朱印帳の鉄道版、という説明が一番分かりやすい。
1社300円。40社全部集めると印代だけで12,000円。ただしそこに至るまでの移動費が積み上がる。
これは旅費をかけてコレクションを完成させていく、じわじわしたやつです。
こんな人に向いてる
- 旅行の目的を探している人。「○○の鉄印をもらいに行く」という具体的な動機が生まれるので、旅先選びの迷いが減る
- 乗り物に乗っている時間が好きな人。鉄印を集めるためには実際にその鉄道に乗る必要がある。乗ること自体を楽しめる人には「乗りながら集まる」が最高に合っている
- 御朱印集めをしている・していた人。「その場所に行ってはじめてもらえる」「帳面が埋まっていく」という構造が同じなので、御朱印との併用や乗り換えとして自然につながる
- ローカル・辺境な場所に引かれる人。鉄印帳の対象路線は地方鉄道が中心で、観光地として有名でないエリアが多い
こんな人には向かない
- 電車にほとんど乗らない人。鉄印をもらうには、その鉄道の乗車券を購入して実際に乗ることが条件になっている。「もらうだけ」はできない仕組みなので、電車に乗ること自体に苦痛を感じる場合は成立しない
- 旅費の積み上がりに耐えられない人。鉄印1つは300円だが、そこに至るまでの交通費・宿泊費がかかる。1社訪問するだけで数千〜数万円の費用が発生する路線もある
- 短期間でコンプリートしたい人。40社を全部回るには全国各地に散らばった鉄道を一つひとつ訪問する必要がある。働きながら週末に回した場合、数年かかることが多い
- 集めること自体に意味を見出せない人。帳面が完成したとしても誰かから表彰されるわけでも、経済的な価値が生まれるわけでもない。「集め終えたという事実」が報酬になるかどうかで、向いている・いないが分かれる
早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 鉄印帳代: 2,200円(税込)+最初の鉄印: 300円〜 |
| 継続費用 | 鉄印1つ: 300円(別途、その鉄道の乗車券代が必要)+移動・宿泊費 |
| 所要時間 | 1社あたり: 乗車時間30分〜数時間。移動含めると半日〜1泊 |
| 場所 | 全国40社(関東・東北・中部・近畿・中国・九州に分散) |
| 道具 | 鉄印帳(専用帳面)・乗車券・スマホ |
| 年齢 | 制限なし(単独行動できる年齢から) |
| ソロ可否 | ソロ向き(1人旅と相性がいい) |
始め方
ステップ1:鉄印帳を買う
鉄印帳は専用の帳面で、全国の対象鉄道の窓口や一部のオンラインショップで購入できる(税込2,200円)。最初に鉄印帳を持っていないと鉄印を押してもらえない仕組みなので、まずこれを入手する。対象40社のいずれかの駅窓口に行けば入手できる場合が多い。
ステップ2:近くの対象鉄道を調べる
鉄印帳プロジェクトの公式サイト(第三セクター鉄道等協議会)で、40社の一覧と路線図が確認できる。自分の生活圏や旅行の行き先に近い路線から始めるのが無理がない。
ステップ3:乗って、窓口で鉄印をもらう
対象の鉄道に乗車し、当日の乗車券を提示して鉄印をもらう。鉄印代300円を支払うと、その鉄道のオリジナルデザインの印と担当者のサインが帳面に記される。窓口対応の時間帯が決まっている鉄道もあるので、事前に確認しておく。
ステップ4:記録と次の目標を立てる
もらった鉄印の写真を撮って記録し、次に行きたい路線をピックアップする。「この旅行の帰り道に寄れる路線」「次の長期連休に遠征できそうな路線」という形でスケジュールに組み込んでいくと、自然と数が増えていく。
ステップ5:遠征計画を立てる
近場の路線を一通り終えたら、遠征計画を立て始める。九州・東北・北海道の路線はそれぞれ1〜2泊の旅行として設計する必要がある。18きっぷ使用可能な時期に組み合わせると、往復のJR区間のコストを抑えられる場合がある。
続けるコツ・よくある挫折
続けるコツ:旅行プランに「ついで」として組み込む
鉄印目当てだけで遠征すると費用対効果が気になりやすい。「○○に観光で行くついでに、近くの路線に乗る」「帰省の帰りに寄る」という形にすると、心理的なコストが下がる。旅の「おまけ」として機能させるのが長続きのコツ。
挫折パターン1:アクセスが大変な路線でペースが落ちる
40社の中には、最寄りの新幹線駅からバスを乗り継いで1時間以上かかるような路線がある。そういう路線は「大きな旅のメインディッシュ」として位置づけると、気持ちが持続しやすい。
挫折パターン2:窓口対応時間に間に合わない
鉄印の交付時間は鉄道会社によって異なり、有人窓口がある時間帯しか対応していない場合がある。「乗れたのに鉄印がもらえなかった」という経験は想定外にテンションが下がる。公式サイトで交付時間を事前確認することが必須。
挫折パターン3:費用が予想より積み上がる
印代300円は安いが、その路線にたどり着くための交通費は路線によって数千〜1万円を超える。「いくらまで使えるか」を先に決めてから計画を立てると、後から驚かなくて済む。
差別化レイヤー(アクセス難易度と費用感)
鉄印帳の概要(公式情報ベース)
鉄印帳は「第三セクター鉄道等協議会」が2020年7月から開始したプロジェクト。対象40社は全国の第三セクター鉄道で、北は北海道(道南いさりび鉄道)から南は南九州(肥薩おれんじ鉄道)まで分布している。
40社の地域別分布
- 北海道・東北:道南いさりび鉄道・三陸鉄道・青い森鉄道など
- 関東・甲信越:真岡鐵道・わたらせ渓谷鐵道・いすみ鉄道・えちごトキめき鉄道など
- 東海・北陸:天竜浜名湖鉄道・長良川鉄道・のと鉄道・あいの風とやま鉄道など
- 近畿:WILLER TRAINS(北近畿タンゴ鉄道)・信楽高原鐵道・紀州鉄道など
- 中国・四国:若桜鉄道・井原鉄道・土佐くろしお鉄道など
- 九州:肥薩おれんじ鉄道・平成筑豊鉄道・南阿蘇鉄道など
※40社の正確な一覧と最新情報は公式サイトで確認要(開業・廃線により変更の可能性あり)
行きやすさの目安
比較的アクセスしやすい路線:
- 信楽高原鐵道(滋賀): 京都・大阪からJR草津線経由で1時間前後。日帰りで完結する
- わたらせ渓谷鐵道(群馬): 東京から特急+普通で2〜3時間
- 真岡鐵道(栃木): 東京から宇都宮経由で2時間程度
- 天竜浜名湖鉄道(静岡): 名古屋・浜松から1〜2時間
遠征が必要な路線:
- 三陸鉄道(岩手): 東京から新幹線+在来線で4〜5時間
- 道南いさりび鉄道(北海道): 羽田から飛行機移動が現実的
- 肥薩おれんじ鉄道(熊本・鹿児島): 九州まで移動が必要
1社あたりの費用感(目安・参考値)
- 近場の路線(自宅から2時間以内): 日帰りで2,000〜5,000円前後
- 中距離の路線(新幹線利用が必要): 日帰りで8,000〜15,000円前後
- 遠方の路線(宿泊が必要): 1泊2日で15,000〜30,000円以上
鉄印代40社分(40×300円=12,000円)は、全体のトータルコストから見るとごく一部。移動費の方がはるかに大きくなる。
近畿・関西から行ける鉄印帳路線の実訪記録(信楽高原鐵道・WILLER TRAINSなど)は、編集部が実際に乗車した後に追記する予定。
※実走レポート・写真は順次差し替え予定
関連情報
- 鉄印帳プロジェクト公式サイト(第三セクター鉄道等協議会): 対象40社の一覧・鉄印帳の購入・各社の交付条件が確認できる
- 各鉄道会社の公式サイト: 乗車券購入方法・窓口対応時間・鉄印デザインの詳細は各社ページで確認が必要
- JR「青春18きっぷ」: 第三セクター路線には原則使用不可だが、目的地への往復でJR幹線区間を使う際にコスト削減の手段になる
- SNSの「#鉄印帳」タグ: TwitterやInstagramで検索すると、実際に集めている人の記録・感想が多数出てくる。路線の雰囲気を事前に把握するのに使える
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