山手線は東京都心をぐるりと囲む30駅・約34.5kmの環状線だ。JR東日本の路線の中でもとりわけ利用者が多く、通勤や買い物で毎日乗っている人も少なくない。ただ「一周だけする」ために乗ったことがある人は、そう多くないはずだ。

調べてみると、この乗り方には普通のきっぷが想定していない部分がある。同じ駅に戻ってくる一周乗車は、運賃計算のルール上ちょっとした落とし穴になっている。バケリス編集部が公式ルールと実際にやった人の記録を調べたので、まとめておく。

先に答え:山手線一周の時間と料金

  • 一周の所要時間:約60分(乗りっぱなし・全30駅・約34.5km。朝夕ラッシュ時は65分前後)
  • 料金:870円〜(都区内パスで1日乗り放題。同じ駅に戻る完全な一周だけをしたい場合は、みどりの窓口で一周乗車券を購入する)
  • 必要なもの:ICカード(Suica・PASMOなど)またはきっぷ
  • 隣駅までの初乗り運賃だけでは一周できない。ICカードは同一駅での出場処理ができないため、一周乗車券をきっぷで買うか、都区内パスを使う

こんな人に向いてる

  • とにかく暇で、何かを「完了」させたい人。到達感がほしいが大きな計画は立てたくない場合にちょうどいい
  • 東京に住んでいるのに、意外と各駅の顔を知らない人。乗りつぶし・街歩きの入り口として使える
  • 一人でふらっと出かけるのが好きな人。誘い合う手間も、誰かに合わせる必要もない
  • スマホだけで完結させたい人。乗換案内も撮影も全部スマホで賄える
  • 予定のない休日に、とりあえず外へ出るきっかけがほしい人。都区内パス1枚で1日過ごせる

こんな人には向かない

  • 目的地がないと落ち着かない人。「電車に乗ること自体が目的」という状況に慣れていないと、途中で「これ何してるんだろ」ってなる
  • 人混みが苦手な人。新宿・渋谷・東京あたりの乗降客数は日本有数。通勤ラッシュの時間帯は正直しんどい
  • 「知識として使えるか」を重視する人。この経験は履歴書に書けないし、誰かの役に立つ確率も低い
  • きっぷを買う手間を惜しむ人。同じ駅に戻る完全な一周は、ICカードのタッチだけでは完結しない。みどりの窓口か指定席券売機で一周乗車券を用意する一手間がいる
  • 電車内でじっとしていられない人。単純計算で60分、電車に乗り続けることになる

早見表

項目内容
初期費用0円(ICカードがあれば即日できる)
継続費用都区内パス:大人870円・こども430円(1日乗り放題)/隣駅までの初乗り運賃:IC155円・きっぷ160円(2026年3月14日改定後・2026年7月確認)/同じ駅に戻る完全な一周乗車券:みどりの窓口で購入(金額は駅で要確認)
所要時間一周のみ:約60分(朝夕ラッシュ時は65分前後)/全30駅下車:半日〜1日が目安(編集部試算・未確認)
場所東京都心部。どの駅からでも乗れる
道具ICカード(Suica・PASMOなど)またはきっぷ/スマホ(乗換案内・撮影用途)
対象年齢制限なし。小学生以上であれば一人でも問題ない
ソロ可否完全ソロ向き。グループより一人の方がペース調整しやすい

運賃の補足:山手線内の隣駅までの運賃は、2026年3月14日の改定でIC155円・きっぷ160円になった(従来の「電車特定区間・山手線内」という割安区分が廃止され、他エリアと同じ「幹線」運賃に統合された。2026年7月確認)。ただしこれは「隣駅まで乗る」場合の運賃で、そのまま一周には使えない。大都市近郊区間には、遠回りしても最短経路の運賃で計算できる特例があるが、これは出発駅と到着駅が異なる場合の規定だ。出発駅と到着駅が同じ「完全な一周」では最短経路そのものが成立しないため、実際に乗った経路(一周分・約34.5km)をもとに運賃を計算することになる。ICカードは同一駅での出場処理ができないため、この乗り方をするなら、みどりの窓口か指定席券売機で一周乗車券を購入する必要がある。具体的な金額は2026年3月の運賃改定の影響でオンラインの運賃検索では確認できなかったため、購入時に窓口で確認してほしい。運賃計算に悩みたくないなら、1日乗り放題の「都区内パス」(大人870円)を使う方がシンプルだ。


全30駅・順番リスト(外回り/内回り・東京駅発)

外回り(新宿・渋谷方面から時計回り)と内回り(上野・秋葉原方面から反時計回り)の2方向がある。どちらに乗るかで最初に見える街が変わる。

外回り(東京スタート):

東京 → 有楽町 → 新橋 → 浜松町 → 田町 → 高輪ゲートウェイ → 品川 → 大崎 → 五反田 → 目黒 → 恵比寿 → 渋谷 → 原宿 → 代々木 → 新宿 → 新大久保 → 高田馬場 → 目白 → 池袋 → 大塚 → 巣鴨 → 駒込 → 田端 → 西日暮里 → 日暮里 → 鶯谷 → 上野 → 御徒町 → 秋葉原 → 神田 → 東京

内回り(東京スタート):

東京 → 神田 → 秋葉原 → 御徒町 → 上野 → 鶯谷 → 日暮里 → 西日暮里 → 田端 → 駒込 → 巣鴨 → 大塚 → 池袋 → 目白 → 高田馬場 → 新大久保 → 新宿 → 代々木 → 原宿 → 渋谷 → 恵比寿 → 目黒 → 五反田 → 大崎 → 品川 → 高輪ゲートウェイ → 田町 → 浜松町 → 新橋 → 有楽町 → 東京


自動改札機にICカードをタッチする手元

始め方(3ステップ)

ステップ1: 準備

ICカード(Suica・PASMOなど)を用意しておくか、駅の指定席券売機かモバイルSuicaアプリで「都区内パス」(大人870円・1日乗り放題)を購入する。同じ駅に戻る完全な一周を、ICカードのタッチだけで済ませることはできない。乗りっぱなしで一周したいなら、みどりの窓口か指定席券売機で一周乗車券を別途用意する必要がある(2026年7月確認)。

ステップ2: 乗り方を決める

「都区内パスで気になる駅に途中下車しながら回る」か、「一周乗車券を買って、同じ駅に戻るまで乗りっぱなしで回る」かで、準備も体験もまるで違う。初めてなら都区内パスの方が手続きが簡単。60分の車窓を一気に楽しみたいなら一周乗車券を選ぶ。飽きなければそのまま2周でも3周でも乗り続けられる。

ステップ3: 何をするか決めておく(任意)

何も決めなくてもできるのがこの遊びの利点だが、縛りルールを1つ決めると格段に面白くなる。例:

  • 内回り・外回りを交互に乗り換えて、景色の順番の違いを体感する
  • 降りたことのない駅で1本だけ電車を降りて、次の電車を待つ
  • 到着メロディを覚えるまで聞き続ける(30駅分あるので飽きない)
  • 撮影係を決めて、車窓の記録を残す

山手線ホームに緑帯の電車が入線する場面

実際にやった人の声

実際に一周した人の記録をX(旧Twitter)や個人ブログで探すと、達成感の声とやや辛かったという声が両方見つかる(出典は記事末の一覧参照・2026年7月20日閲覧)。

  • 「山手線一周楽しかった」。2026年3月1日にXへ投稿された短い一文。詳しい経緯までは書かれていないが、一周を終えた満足感がそのまま出ている
  • 「達成感は素晴らしい」という声。都区内パスを使って1日に何周も乗った経験者のブログでは、一周を終えるたびに達成感があったと綴られている
  • 「4〜8周目くらいの時は相当辛かった。辞めたいと思った」という正直な報告。同じブログでは、複数周するうちに景色に飽きて、体力的にも精神的にも辛くなったと書かれている

編集部の観察:1周だけなら60分で終わる気軽な遊びだが、複数周する人にとっては「達成感」と「飽き」が表裏一体らしい。最初の1周を気持ちよく終えたいなら、混雑を避けた時間帯を選ぶのがよさそうだ。


続けるコツ・よくある挫折

よくある挫折パターン

  • 「1周したら終わり感がすごい」。60分で東京駅に戻ってくる。「で、次どうする?」ってなる。これは想定内なので、あらかじめ都区内パスを買って気になる駅で降りる計画を立てておくと続けやすい
  • 「複数周すると同じ景色に飽きる」。1日で10周した経験者のブログでは、周を重ねるごとに新鮮さが薄れ、体力的にも精神的にも辛くなったという報告がある(後述)
  • 「朝夕ラッシュ時に当たって体力を消耗する」。新宿・渋谷・東京は通勤ラッシュ時の混雑が激しく、座れないまま60分過ごすのは想像以上にしんどい

続けるコツ

  • 平日昼間か休日の空いている時間帯を選ぶ
  • 都区内パスを使って、気になる駅で気軽に途中下車できるようにしておく
  • 内回り・外回りを変えて、同じ路線でも景色の順番を変える
  • 縛りルールを1つ決めて、単調にならないようにする

山手線一周を深掘りする

大阪環状線と何が違うのか

バケリスにはすでに大阪環状線一周の記事がある。比べると、大阪環状線が19駅・約21.7km・所要約40分なのに対し、山手線は30駅・約34.5km・所要約60分。運賃の建付けも同じで、隣駅まで乗る「大回り乗車」なら最低運賃(大阪180円〜・山手線160円〜)で済むが、同じ駅に戻る完全な一周はどちらもみどりの窓口で一周乗車券を買う必要がある(大阪環状線は410円・2026年7月確認。山手線側は運賃改定の影響で金額は窓口確認)。駅数も距離も山手線の方が1.5倍前後大きく、都心の路線というだけあって運賃制度もより複雑だ。同じ「環状線一周」という遊びでも、東京版の方が規模も手間もひとまわり大きい。

一周乗車の運賃、結局いくらが正解なのか

前述の通り、同一駅発着の一周乗車には大都市近郊区間の最短経路特例が使えないというのが規則上の建付けだ。ICカードは同一駅での出場処理ができないため、乗った駅の改札をICでタッチして出ようとしても機械的に弾かれる。正規に一周したいなら、みどりの窓口か指定席券売機で一周乗車券(営業キロ34.5km分)を買うのが正攻法になる。ブログ等でも「普通のきっぷでは山手線を1周することはできない」という指摘が見られ、この理解と一致する。運賃計算そのものに悩みたくないなら、都区内パスで途中下車を前提にした回り方に切り替える方が早い。

何周もする人たちがいる

1日で山手線を10周したという個人ブログの記録がある。都区内パスを使えば1日何周でも乗れる制度を利用したもので、「1周目は楽しかったが、次第に苦痛を感じた」という正直な感想が綴られている。1周60分の遊びは、回数を重ねるほど別の遊びに変わっていくらしい。

朝夕ラッシュは避けたほうがいい

新宿・渋谷・池袋・東京といった山手線の主要駅は、平日朝夕の通勤ラッシュ時にかなりの混雑になることで知られている。座って車窓を楽しみたいなら、平日の昼間か休日を選ぶ方が体験の満足度は上がりそうだ。


指定席券売機の画面を操作する手元

関連情報

  • JR東日本公式「都区内パス」案内ページ:料金・利用条件・購入方法を確認できる(2026年7月確認)
  • JR東日本公式「運賃改定のお知らせ」特設サイト:2026年3月14日の運賃改定の詳細を確認できる
  • JR東日本公式メディア「山手線の内回り・外回り」解説記事:駅一覧・回り方の基準を確認できる

近い趣味

この記事のデータ確認日: 2026年7月20日